妊娠したら知ってほしいこと

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妊婦

 はじめに

 新しい命を授かった皆様、おめでとうございます。お子さんの未来を考え、ワクワクと胸を躍らせているかと思います。
 また、出産は未知の体験。不安もたくさんあるかと思います。
『出産って大変そう…』『身体への負担が大きそう…』
そんな漠然とした不安を抱えている皆さんへ朗報です。この記事を読むと自身の身体にどのような変化が生じるのか、妊娠中や妊娠後にはどんな体調の変化が起きるのかを知ることができます。
 奥さんのことが心配な旦那さんもご覧いただけますと幸いです。

妊婦にまつわる噂

 出産したお友達や先輩から、ホルモンバランスの崩れや腰痛など
身体の不調が出てくるといった話を度々耳にするかと思います。
『なんとなく不安だなぁ』、『怖いなぁ』と思うのはごもっともな感情ですね。
ですので、その不安となっている【なぜ】を医学的に一緒に考えていきましょう。

出産による3つの変化

 では出産に当たって身体にはどのような変化が生じるのでしょうか。
皆さんがご存じの通り、お腹にいる赤ちゃんが大きくなるにつれて母体の腹部も大きくなっていきます。他にも様々な変化が時間の経過とともに生じていきます。では少し、詳しく見ていきましょう。

①体型の変化

 妊娠中の母体の体型は、妊娠 2 ヶ月頃より乳房の増大が始まります。
その後、妊娠 5 ヶ月頃から腹部が前方へ突出する形で大きくなります。
 つまり、体型として胸と腹部が身体前方への重みとなります。その重みによって身体を前方へと倒そうとする力が生じますので、バランスを取るためには大きく腰を反る必要があります。なんだか腰が痛くなりそうな姿勢ですよね。

②体重の変化

では、その重みとはどのくらいでしょうか。妊娠中には体重が約 8 ~ 10kg 増加します。そして、分娩により胎児や胎盤等の約 4 ~ 6kg が減少し、産褥期(出産後に母体が回復するまでの期間)にさらに約 4kg 減少します。産後 6 ヶ月でやっと非妊娠時の身体状態に戻るのです。

③姿勢の変化

 先程お伝えしたように、胸と腹部の重みによって妊娠中の女性は特徴的な姿勢をとりやすいんです。
特に妊娠中期~後期では、立つ姿勢でお腹が前に大きく出るため、腰を大きく沿ってバランスをとります。想像してみてください、毎日、四六時中5㎏のお米を抱えながら生活するんです。
 どうですか?誰だって腰が痛くなりそうですよね。この姿勢が腰へのストレスを大きくし、腰痛の原因となります。

腰痛、骨盤の痛み

 もちろん腰痛にならない方もいらっしゃいますが、多くの方が腰痛に悩まされているのも事実です。妊産婦のマイナートラブルとして腰痛は最も多いとされます。では、どのくらいの割合で腰痛が生じるのでしょうか。

腰痛の罹患率

 妊婦の 60 ~ 70%、褥婦(分娩~妊婦前の状態に戻るまでの期間)の 40% 、産後 1 年以 上で 67%、産後 24 か月で 21.1%が罹患し、なんと長期的に継続する場合もあります。骨盤帯痛の罹患率は妊婦16 ~ 25%、産後2年まで継続する場合が 5 ~ 8.5%と報告されています。
 妊婦の6~7割が腰痛を発症し、長い方だと産後2年も腰痛に悩まされるとは驚きですよね。それだけ、母体には多くのストレスが生じるんです。

主な腰痛の原因

 主な原因はホルモンの影響です。妊娠中分泌されるリラキシンは骨盤帯の関節弛緩に関与します。 恥骨結合(骨盤にある関節)と呼ばれる普段は動かない関節が出産のため、徐々に広がります。これが妊娠 8 ~ 10 週から生じます。骨盤帯の関節は、妊娠最終月~産後 3 週では健常者より32 ~ 68%も動きが大きくなります。妊娠中の恥骨結合の広がりにより、骨盤を形成する関節が過剰に動いてしまったり、不安定性が増大することによって腰痛や骨盤帯痛が生じると考えられています。
 また、妊産婦に多くみられる姿勢の変化により、 背骨の弯曲が変化すると、お腹や背中の筋肉のバランスが崩れてしまい、腰背部痛を呈しやすいことが考えられます。その他にも、ホルモン分泌の急激な変化による心因性の問題、妊娠前または妊娠中の腰痛の有無、身体への重度な負荷、多産、産後の体重を非妊娠時まで戻せないことがあります。また、帝王切開で出産した女性は自然分娩より骨盤帯痛が多くみられます。

腰痛に対する効果的な改善方法

 妊婦の腰痛、骨盤帯痛に対する理学療法(リハビリ)に関して、 海外ではガイドラインを始め多く報告されています。 介入方法に関するレビューでは、腰痛には運動療法 が効果的であり、骨盤帯痛には運動療法に骨盤ベルトを組み合わせることを推奨しています。医師や理学療法士等の専門家と相談しながら運動療法を行う方が安心です。自己流でやるのは大変危険です。腰痛がひどい場合には近くの病院へ受診してください。

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