長寿の知恵から学ぶ!人生の教訓!
はじめに
私は理学療法士という仕事に従事している。
そのため、病気や障害を抱えた年配の方と話す機会が多い。
私がリハビリを提供する一方で
患者である彼らからは、人生の先輩として多くを学ばせていただく。
そのようなWIN-WINな関係が構築されると
お互いに敬う気持ちで接することが可能となり
リハビリ時間は学びある楽しいひと時へと変わる。
ありがたいことに
私は、沢山の【人生の先輩】から多くを学ばせてもらっている。
彼らは、何十年もの人生を歩み
その中で多くの人生の選択をしてきた。
長寿によって得た知恵の価値は図り知れない。
その中で
特に私の胸に響いた言葉を
あなたにお伝えしたい。
長寿の知恵は
きっとあなたの人生を豊かにしてくれる。
人生の薬とは
90歳代のご婦人は車いすに乗り、
介護タクシーを利用することで様々な場所へと繰り出している。
彼女は戦争を経験し、学校へ行けなかった。
しかし、その境遇に負けまいと、いくつもの逆境を撥ね退けて
社長夫人となり幸せな人生を送っている成功者だ。
そんな彼女は、少し気難しい一面もあるが
リハビリを担当する私をいつも温かく迎えてくれる。
そして、日常会話の中で
さまざまな学びを与えてくれるのだ。
彼女は私に問う。
『あなたの人生は楽しい?』
私は、楽しいこともあれば、嫌な出来事もあると言った。
すると彼女は、細い目を見開きながら
優しくも力強く言った。
『人生で起こる嫌なことはね
全部あなたの人生を良くしてくれるものなのよ
嫌な出来事はすべて人生の薬なの』
そして、テーブルにあった薬袋を拾って
言葉を続けた。
『大好きな食事だけを続けて
この苦い薬を
飲まなかったら
きっと私の身体は悪くなるわ』
『楽しいことばかりもいいけれど
時には、人生にも薬が必要なの』
『だから、
こうやって苦い薬も飲まなきゃね』
と微笑みながら、口に薬を放り込んだ。
彼女の表情に、みるみる皺が増えていく。
いっと口元を歪ませ、梅干しのような彼女の顔を見て私は笑った。
戦争を経験できてよかった
彼女が生きた時代には、戦争があった。
戦火は、まだ幼い彼女の自宅のすぐ側まで迫っていた。
知人の多くが命を落とし、
なんとか生き長らえた者も飢えに苦しんだ。
そして、しばらくして彼女の自宅も炎に包まれた。
『とても
ひどい時代だったね。。。』
『でも
私は戦争を経験できてよかったと思うの』
『だって
今はこんなにおいしいものを食べられて
あなたにマッサージをしてもらえるんだもの』
『戦争を経験できたからこそ
戦後の辛い状況や
人生で起きた大変だったことも
乗り越えてこられたの』
『あれより
大変なことなんてないからね!』
がはははははっ と大口を開けて笑っていた。
私には神様がついている
『私には神様がついているの
人生で3回も奇跡が起きたのよ』
当時は戦後で働き口が少なく、
働くことが出来ない者も多かった。
彼女もまた例外ではなかった。
飢えに苦しんだ彼女は
楽になりたいと考え
近くのつり橋へ身投げを試みた。
橋の下を覗きこむと
彼女の頭に、ひとつの考えが浮かんだ。
『この橋から飛び降りたら
きっと痛いんだろうなぁ。。。』
彼女は、飛び降りるのをやめた。
そして、とある人物を思い出した。
以前、お金がない友人を世話していたことがあった。
宿がないと言うその友人を
彼女の自宅に居座らせて、面倒をみてあげたのだ。
『あの子は元気にしているかなぁ
ちょっと見に行ってみるか』
友人を一目みてから
身投げをしようと考えていたが
訪ねた場所は、食堂だった。
友人は忙しそうに働いていた。
彼女が友人に声をかけると
『人手が足りないから、手伝って!!』
と手を引かれ、有無を言わさず働かされたのだ。
そして
そのまま10年の時が過ぎた。
『あの時
橋から飛び降りなくて済んだのが、1つ目の奇跡』
『友人の食堂で職に就けたのが
2つ目の奇跡だね
最初は、お金はいらないですと伝えたのだけれど
ちゃんと口座に振り込まれていた』
『私には神様がついているのよ』
自分の努力で手にした結果を
神様のおかげと語る彼女。
いつも感謝の気持ちを持ち続けている彼女を
私はとても尊敬している。
そういえば、
3つ目の奇跡はなんだったのだろう
と気になった私は彼女に訪ねた。
『3つ目は。。。
忘れちゃったね‼』
がはははははっと笑う彼女。
まとめ
彼女は人生で大切な知恵を多く持っている。
それは、学校では決して学べないことだ。
学校に行けなかった彼女は
落語が先生だったのだそう。
そろばん教室は
友人を連れてくれば1か月無料にしてくれる
と言われ
6か月在籍した。
不遇な環境だと
多くの人が嘆くような状況を
彼女は『ありがたい』といい
周囲に感謝し、努力を重ね
見事に幸福を手にしている。
長寿の知恵は
何事にも代えがたい
学びを授けてくれる。
本稿があなたの人生を豊かにする一助となれば幸いである。