予防リハビリの重要性と難しさ
予防リハビリの重要性と難しさ
理学療法士として働いていると、予防することの重要性を身に染みて感じます。多くの病気やケガは、一度発症すると加速度的に悪化していきます。例えば、変形性膝関節症などは、膝の変形が生じていくと、体重をかければかけるほどに変形が加速していきます。「膝が痛いから」と姿勢の悪化を招き、更なる変形を助長していくのです。つまり、重症化する前に、正しい運動を学び、健康的な生活を送ることが大切になります。では、その予防リハビリを実施している具体的なサービスはありますでしょうか?
ぱっと思いつくサービスがないのが現状です。フィットネスなどのサービスは健康に貢献しているものの、加齢などのきっかけで行えなくなると継続が難しくなります。
そもそも予防とは、不健康な状態を未然に防ぐことを目指します。これは、モチベーションが持続しにくいのです。なぜなら、「いかに”不健康な状態”から離れ続けられるか」を追い求めるからです。
通常は”何か”を継続するには、目標設定をして、そこに近づいていくことで達成することが可能となります。つまり、目標へ徐々に近づいていく実感を得ながら進むので、目標達成以前にも充実感が得られます。これによって、モチベーションが持続しやすいのです。しかし、予防においては、「いかに”不健康な状態”から離れ続けられるか」が目標となるので、過程での充実感を得るのが難しいです。また、常に不健康から逃げ続けなくてはならないため、永遠に達成したという明確なゴールが訪れることはありません。
実は、脳の特性としても”未来の自分を他人として考える癖”があるため、多くの人が未来に起こりうる”不健康な状態”を自分事として捉えられないのです。学生が夏休みの宿題を、最終日の自分に託してしまうのがまさにそうです。こういった多くのことが、予防リハビリを遠ざけてしまう要因のように思えます。また、”やらなかった未来”を比べることはできないので、たとえ予防リハビリを実施しても、継続することを選択しない人も多いのです。「やらなくても、どうせ私は健康であるはず」と思うのです。
上記のように予防リハビリを受け入れるには、多くの難しさがあります。では、そのような難しさの中で、予防リハビリのモチベーションを得るにはどうしたらいいでしょうか?
そのヒントは”現在位置”と”目標”の明確化にあります。
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